検査その2は、眼科でよく行われている検査の紹介です。眼科に来る機会がなければ名称を聞く機会はほとんどないかもしれません。どのような目的でおこなうのかを書いていきます。
眼底検査(散瞳)・・・
目の奥を詳しく確認する検査です。
球状の眼球の裏面(内側)には網膜があります。後方全体から前方の角膜付近までの球の裏側ほぼ全体に存在します。
眼底検査は未散瞳で行う場合と散瞳して行う場合があります。散瞳とは、目薬をして瞳孔を広げることです。通常はミドリンPという目薬を使用し20~30分ほどで広がります。
未散瞳では、光を当てると対光反応で瞳孔(黒目の真ん中の黒い部分)が小さくなってしまいます。明らかな出血や視神経の病気はわかりますが、光も入りにくくなり、一部を確認すること以外に詳しく見ることはできません。そこで散瞳が役に立ちます。
散瞳による眼底検査は、光がよく入り瞳孔も小さくなりませんので、目の方向を変えながら180度以上の範囲の網膜を観察することができます。眼底カメラは45度ですので、健診のそれと比べかなり多くの情報が得られ、硝子体、網膜、視神経のさまざまな病気を見つけることができます。
診察は全体で1時間前後かかります。診察時から見づらくなり終了後もぼやけて見える状態が4~5時間残ります。歩くことはできますがピントが合わない状態になります。運転は危険で事故の恐れがありますので自転車や自動車の運転を避ける必要があります。これを踏まえてあらかじめ徒歩やバスで来院してもらうと当日のうちに検査を行うことができます。
生体染色・・・
目の表面や涙の病気に対して行う検査です。
表面の病気は、角膜上皮びらん、ドライアイ、結膜障害など多岐にわたり、涙の病気は鼻涙管狭窄などの導涙障害や涙嚢炎などです。
フローレス試験紙という色素のついた紙をまぶたの裏に触れさせると、目に黄色っぽい色が付きます。ブルーライトを当てると傷のある角膜や結膜が強く光ります。また涙が発色するので涙が多いか少ないか、乾きやすいかがわかります。色素に染まった涙がなくなっていくかを確認すると、涙が目から鼻の方に通過できているかがわかります。
OCT(光干渉断層計)・・・
網膜の層構造を詳しく確認する検査です。
網膜の真ん中にある、視力が出るために大切な部位である黄斑部の病気の診断には非常に有効です。黄斑部は通常ではわずかなへこみ(陥凹)があります。
網膜中心静脈閉塞症や糖尿病網膜症で浮腫が起こると山型に盛り上がります。黄斑円孔という病気ではその名の通り穴(円孔)が見られます。加齢黄斑変性や強度近視によって出血が起こると、網膜の内部に出血が描出されます。
検査は痛みやまぶしさもなく、数分で検査は終わります。画像イメージが一目瞭然なので、とても説得力があり、患者さん自身も納得していただける検査です。
他にも、緑内障の初期や前段階を評価することが可能になります。視神経がやられることによって網膜の一部の層(網膜神経線維層)が薄く変化するのを確認できるからです。
眼科は混雑時に、一人一人に対し限られた時間での説明を行わざるを得ません。そのときに肉眼での検査が最も重要とは考えておりますが、このような色や形で判断・説明できる検査を併用することで患者さんにも納得しやすいお話ができ、待ち時間軽減にもつながります。眼科特有の非常に有用な画像検査を、当院診察室でみなさんの左横にあるモニターにて説明しておりますので、よろしければ病気や目の状態把握を一緒に確認、理解していきましょう。